バンダイ キャンディ スタッフ BLOG

バンダイの食玩・お菓子・食品etc… “バンダイ キャンディ”の開発スタッフによる公式ブログです。開発担当者が交代で更新予定です。      ※このページでは、記載内容・商品等に関するお問い合わせは受け付けておりません。ご了承ください。

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【戦隊 食玩事件簿 file.10】VSチェンジャーの開発に密着! ハイパーアイテムズ紹介(後編)

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こんにちは! スーパー戦隊の食玩担当・N岸です。

今週3/6(火)から、ついに「ミニプラ ルパンカイザー」が発売されています! 全高約145mmながら、変形&合体の機構を完全再現しており、買って損はさせない力作です。

ぜひお近くのスーパーやコンビニのお菓子売場でゲットしてみてください!!

 

 

そして、今回の記事は、まさにそのミニプラを使って遊べる、3/26(月)発売「ハイパーアイテムズ」のレビュー(後編)です。

商品の概要は、以下リンク先の前編で紹介しています!

 

【VSチェンジャー 開発秘話】

後編では、いつものような完成品のレビューではなく、開発の裏話的なことを書いてみます。

焦点を当てるのは、ハイパーアイテムズのラインナップ全3種の中の1種、「VSチェンジャー」。

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一見、例年の食玩となんら変わりなくも見えますが、かなりの苦労がありました…。

 

■食玩の悩み

ブログでしつこくお伝えしている通り、今回の食玩版VSチェンジャーは、同じ食玩の「SG VSビークルlite」と「ミニプラ」をセットして遊べる、プレイバリューの高い仕様になりました。

 

これが以前の食玩ではどうだったかといいますと、ここまでシンプルな話ではありませんでした。

同じように、マシン系アイテムで変身&ロボ戦をする「トッキュウジャー」食玩のメイン商品群を見てみたいと思います。

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3つのサイズの烈車が並んでいますが、それぞれできる遊びは異なります。

なりきりキットのブラスターにセットできるのは、あくまでなりきりキットシリーズの烈車だけ。「ミニプラやSGを、食玩アイテムにセットする」というようなことはできませんでした。

 

これらのアイテムをもしセットできるようにしたいと思ったとき、課題になるのが「玩具の安全基準」です。

子ども向けのアイテムは、乱暴に振り回して遊ばれる可能性も想定しています。

もしかすると、本体から不意に外れたパーツが目などに当たり、大きな怪我につながることもありえます…。

ですので「激しく振っても、パーツが外れないこと」が、武器アイテムの絶対条件となっています。

 

たとえば、なりきりキット用の烈車では、車体の下に「振り回しても外れないレール」をつけて、ブラスターに固定できるようになっていました。

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烈車としてのスタイルは崩れてしまうのですが、子どもたちに安全に遊んでもらうためにはなくてはならない工夫です。

ただし、このような工夫は、ミニプラとは非常に相性が悪いです。レールがついただけでデザインが崩れてしまいますし、可動(=変形・合体)の邪魔にもなってしまいます。

安全基準を満たそうとすると、デザインや可動が犠牲になってしまう…。

サイズが小さい食玩ならではの悩みを抱えつつ、これまでの戦隊アイテムは展開されてきました。

 

■企画会議にて…

そのような食玩特有のジレンマを、今でこそ解説できている自分がいますが、昨年はまったく違いました…。

開発経験が浅かった自分は、ルパンレンジャーVSパトレンジャー食玩のスタートとなるキックオフの会議で、無謀にも「SGやミニプラを、どうせなら食玩の武器にくっつくようにしましょう!」と主張しました。

ただ「SGやミニプラをなりきりアイテムにセットできるようになれば、子どもたちが今以上に楽しく遊べるようになるはず!」という純粋な気持ちからです。

設計をしてくれるメガハウスの担当者が、「う~ん」と唸ったのを今でも覚えています。

 

その後、各所にヒアリングして回るうちに、先に述べたような安全基準上の難しさを詳しく理解し、頭を抱えました…。

ただ一方で、DX玩具ではできていることなので、小さな食玩でも、工夫次第で何とかなるのではないか、とも思いました。自分のお金で買えるわけではない子どもたちにとっては、食玩を自由に組み合わせて遊べるほうがより喜んでもらえるはずで、そこを創意工夫でなんとかするのが、企画開発の仕事だという使命感もありました。

 

その後、細かく打ち合わせを重ねるうちに、当初は安全性を理由に難色を示していた開発チームのスタッフも、「喜んでもらえるようなアイテムを作りたい気持ちは同じです。ここで手を止めてしまうのではなく、一度進めてみましょう!」と力強い言葉をかけてくれました。

そして、ひとつのゴールを目指して、新アイテムの開発がスタートしたのです!

 

■試行錯誤

まず「SG VSビークルlite(DX玩具連動アイテム)をVSチェンジャーにセットする構造」にトライしました。

ここは、食玩にもDXと同じ形状のレールを採用することで、早期にクリアできました。f:id:candywrite:20180308141857j:plain

一方ミニプラは、下の図のように、引き出し式のピンに差して固定しようとしました。上の試作では、折りたたまれて収納されたピンが見えていますね。

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最初に完成した「レッドダイヤルファイター」の試作をセットしてみると、振り回しても外れないようにはできそうでした。

これはいけるか…!?

しかし、グッドストライカーの試作が形になると、開発チームを絶望が襲いました。

思っていた以上に、でかいし、重いぞ…。

レッドダイヤルファイター約12gに対し、グッドストライカー約62g…! その差、5倍以上。

案の定、グッドストライカーは、2本のピンごときではまったく固定できませんでした。

記念すべき一台目のグッドストライカーの試作は、この振り下ろしテストでふいに外れて地面に激突し、バラバラになるという悲劇が起こりました…。

 

この後、ピンの本数を変えてみたり、太さをかえてみたり、ピンの場所を変えてみたりと試行錯誤しました。が、自由気ままなグッドストライカーは、すぐにVSチェンジャーから飛んで行ってしまいます…。

そもそも、子どもがピンを差し込む力には個人差があるので、弱い力でくっつけた場合は外れやすくて危ない、という根本的な懸念もありました。

 

■突然のひらめき

解決の糸口もないまま、あっという間に時間は過ぎてしまい、あと5日で設計データを工場に送らないという状況まで追い込まれてしまいました。

その日はお昼過ぎから関係者が集まり、会議を開きました。

今日アイデアが出なければ、もう発売に間に合いません。背水の陣です。」という重い言葉で会議がスタートしたのを覚えています。

 

それまで2か月近く悩んでも、どうしてもクリアできない課題。もう諦めムードのようなものがありました…。そんな中、会話の中で、だれかがぽつりと

「いっそミニプラの底のプレートがデカければいいのに…。そしたら、SGみたいにつけられるんだけど」

と言ったのです。

「それはダメですよ。あんなデカいプレートつけたら、変形合体できなくなりますよ…」

と、ごく真っ当な意見がでます。下の画像をみたら当然です…。こんな大きなプレート、ミニプラにはつけられません。

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ただ、その会話がきっかけで、光明のようなものが見えてきました…。

「ミニプラから取り外しできるプレートにできればいいんですけどね」

「それだと、VSチェンジャーのピンにミニプラを差し込むのと変わらないですよ。プレートから外れたら吹っ飛びます。」

ピンじゃなくてなにか別のつけ方…?

「たとえば小さなロックパーツを仕込むとか…」

「このサイズだとさすがに無理ですよ」

「じゃあ挟み込むとか…?」

「なるほど。ミニプラの先端に、左右から挟めそうな小さいプレートが付いてますね!」

「それだと後ろ側がブラブラしちゃって固定できないんじゃないですか?」

「後ろ側も挟み込めるよう、目立たない突起を生やせばいいのでは?」

会議が一瞬でヒートアップし、だれもが「これは行ける…!?」と熱くなっていたのを覚えています。

 

■3日後、試作が完成

その会議の1日後には、仕事がとにかく早い設計者・S田さんが、データ上で試作を設計。さらにその2日後には、3Dプリンタで出力した試作パーツが出来上がりました。

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 これをどう使うかというと、ダイヤルファイターのボディを左右から挟みこんで、真ん中を合わせます。

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ぴったり合わせると、裏側にはSG VSビークルliteについているようなレールが出現。

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SGと全く同じロック機構で、VSチェンジャーにセットすることができるのです!!ミニプラの可動やギミックはまったく損なわずにここまで来れました。

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そして、VSチェンジャーからは、大急ぎで2本のピンが削除されました。

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これにより、VSチェンジャー自体もより劇中のスマートなイメージに近づけることができました! まさに一石二鳥のひらめきでした!

 

■量産前サンプルで、再度トラブル!

 こうして、ついに設計データが完成! 金型を彫り、ついに実際の量産前サンプルを実際の成形機で打つところまで進みました。

しかし、量産前サンプルをVSチェンジャーにセットして振り回す試験をしたところ、なんと追加パーツがグッドストライカーの重さに耐えられず、外れてしまったのです!

事前の検証では耐えられる想定だったのですが、何が起こるかわかりません…。もうダメかも…と本気で思いました。

しかし、このトラブルが発覚してすぐに、仕事がとにかく早い設計者・S田さんが、金型に下のような改良を加えてくれました。

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グッドストライカーを、前と後ろの両方でしっかり挟んで固定できるようにする改良です。この改良後、グッドストライカーをつけたVSチェンジャーは、もういくら振り回してもびくともしません。

ついにVSチェンジャーとミニプラの連動という野望が達成されました!!!

 

■最終画像

こうして実現した連動の画像を一挙ならべてみます。

【ミニプラ編】

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全長は約21cmあります!

 

【SG VSビークルlite編】

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非常にマニアックな記事になってしまったのではないかと不安で仕方がないのですが、たまにはこういった突っ込んだ開発秘話も面白いかなと思って書いてみました。いかがでしたでしょうか。

3/26(月)発売のハイパーアイテムズ、見かけた際はぜひゲットして、ミニプラやSG VSビークルliteをセットしてみてください!!

 

―予告状 2~4月アイテムー

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担当:N岸
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